きっと、嘘 14


 モニタの右横から、いつものようにしっかりとした足取りでレンが出てくる。彼は中央まで歩いていくと、こちらへと視線を向け、嬉しそうに笑みを浮かべた。花がほころぶような、柔らかな色合いがにじむ、そんな笑顔を。


「──
「こんばんー、レン」


 ひらりと手を振って、軽く笑って見せる。するとレンは、ますます嬉しそうな色で表情を彩った後、こっくりと頷いた。向日葵色が揺れる。それから、彼は小首を傾げて見せると、つんと突き出た唇を動かし、言葉を紡ぎだした。


「こんばんは」


 レンは一瞬だけ間を置いて、小さく息を吸う。


「明日、休み?」


 声に、明らかな期待が含まれているのがわかる。出来れば頷いて、レンがもっと嬉しそうな笑みを見せるのを見たいけれど、そうもいかない。は苦笑を浮かべた。それで大体彼は想像がついたのだろう。寂しげな色を瞳に映しだす。返答に何が来るかをわかっているようだ。口を開き、一応きっちりと返答をする。


「ううん」


 首を振って返すと、レンはあからさまに落胆した様子を見せた。瞳が下へ向き、ほのかに開いた口唇から、溜息の漏れる音が聞こえる。朱色に色づいた頬が微かに膨れた。……拗ねちゃったの、かな。心の中でそんなことを思い、は苦笑を浮かべた。
 ──拗ねる、というよりは、レンはいじけているのに近い気がする。期待を持ちながら問いかけた、それなのに返答は望むものではなかった。いじけたりするのもわかる、というものだろう。
 何となく申し訳なくなった。に何の否もないとは思うものの、表情に苦いものが色濃く浮かんでくるのを阻止できない。──喜ばせたい。喜ばせて、彼のとてつもなく嬉しそうな笑みを見たいと思うのは、なぜなのだろう。

 レンは苦笑を浮かべるの様子に気付くと、頬を膨らませていた空気を吐き出す。それから瞳を動かし、と視線を合わせた。視線に含まれるのはちょっとした疑惑、だろうか。何、どうかしたの──声に出さず、彼は問い掛けてくる。それに気付かないふりをして、は顔に浮かんだ苦味を打ち消した。
 とたん、レンが、ほんの少しだけ険を含めた視線を投げかけてきたけれど、それにも気付かない振りをする。


、どうかし……」
「レンこそ。どうかしたの?」


 レンの言葉を遮るように声を出す。一瞬、彼はむっとしたような表情を浮かべたけれど、次の瞬間には困ったように肩をすくめて見せた。眉尻が若干、下がっている。眉間には軽く皺が刻まれていた。
 レンはそっと、吐息を零すと、を仰ぐように見る。無言。どちらから、何を言うわけでもなく、静寂だけが辺りを包み始めた頃、観念したような声音が彼の口から漏れた。


「……別に、オレはなんにもしないよ」


 ……心なしか、オレは、と言う言葉の部分を強調された気がする。お、れ、は、みたいな、そんな区切りをつけながら、はっきりと一言一言紡がれた気が。
 なんとなく居たたまれなくて、軽く笑って返す。すると、レンはの名前を静かな声音で呼び、しっかりと視線を合わせてきた。彼の頬が、ゆるやかに赤へ染まっていく。


は?」


 どうしても追求したいのだろうか。が苦い表情を浮かべた理由を。……別に、なんとなく浮かべてしまっただけなんだけれどなあ。心の中でそんなことを思いつつ、そのまま言葉を口にする。


「別に、なんにもしないよ」


 レンは不服そうな様子を見せたけれど、それ以上の問いかけを仕掛けようとはしてこなかった。
 無言が舞い戻ってくる。何をすることも無く、は片肘を突きながらレンを見つめる。彼もをしっかりと見つめてきた。視線が混じりあう。──ふと、彼の瞳が、微かに揺らいだ。唇が軽く開き、言葉を形づくる。ただ、声は耳に届いてこなかったので、口には出さなかったのか、それとも、に聞こえないような小さな声で呟いたのか、どちらかだったのだろう。首を傾げると、一層強く見つめられた。何かしらの気持ちが視線に乗っているのか、彼の瞳は忙しなく色を変えていたけれど、何を言いたいのかは推し量ることが出来なかった。
 見つめあいの均衡状態が続く。……なんかこう、何秒、程度くらいなら視線をずっと合わせるのは耐えられるものの、何十、何分単位になってくると、とたんに気恥ずかしくなってくるのはどうしてなんだろう。ふいと視線を逸らすと、あ、と小さな声音が聞こえてきた。間違い様もなく、レンの声音だろう。ほんの少し寂しげな、そんな調子を孕んでいた。

 視線を逸らしながら、は無言を打破すべく、口を開いた。


「──な、何か、したいこと、ある?」


 僅かにどもってしまった。恥ずかしい。ほのかに羞恥で心が満たされるのを感じつつ、は首を傾げた。恥ずかしい? どうして、こんな思いを抱える必要があるのだろう。こんなの、まるで。
 そこまで考えて、再度苦笑を浮かべる。まさか。まさかまさか、そんなわけがない。一瞬だけ浮かんだ思いを打ち消して、は視線を下ろした。パソコン、キーボードの前に手を置き、組み重ねる。小さく吐く息と共に、先ほどの羞恥を地面に落とす。恥ずかしがる必要なんて、無い。どもったり、視線を合わせることに、恥ずかしさを感じる必要なんて、どこにあるというのだろう。

 視線を上げると同時に、レンの声が耳に響いてきた。


、あのさ、オレ──歌いたい、かも」
「歌いたい? ああ、じゃあ、前に作ってたオケを完成させなきゃねー」


 上目遣いに見つめられても、なんとも思わない。……嘘です、可愛いです、非常に。思わず撫で撫でしたくなるのを抑えつつ、笑みを浮かべて返す。すると、レンはほんの少しだけ寂しげな様子を見せた。唇を尖らせて、いじけた様子を見せる。
 その様子に、少しならず何か変な突っかかりを感じたけれど、口に出すことはしなかった。DTMを開く。前に作ったオケ、サビしか出来ていないからなあ。考えるべきパートはいくつもある。ただ、少しは思い浮かんでいるものがあったので、それをそのまま打ち込んでいく。色々な楽器を使って奏でていくのは、すごく楽しい。

 レンはいつものように、デスクトップ上の右端に移動した。曲を打ち込んでいる最中、の方を時折振り向く。そうして、ほんの少しだけ笑みを浮かべると、、と穏やかにの名前を呼んだ。


「なーに」


 レンに名前を呼び止められるたび、は作業を中断して彼を見る。とたん、彼は嬉しそうに頬を弛緩させながら、首を振った。向日葵色から覗くように、ヘッドセットの白色が見える。


「なんでも、無い」


 かすかな笑い声を忍ばせて紡がれるそれに、深くは追求せずに中断していた作業を続行する。レンはそれからもを度々振り向き、蕾が開くような淡い笑みを浮かべると、の名前を口にする。の勘違いで無ければ、とても嬉しそうに。その度にが作業を中断させ、彼と視線を合わせると、ますます笑みを深くする。オレのこと、見て──そう、表情が物語っているようだった。
 彼は本当にいとおしそうに名前を呼ぶ。の名前を。呼ぶたびにイントネーションを変え、そこに秘める色を変え、表情を変え。そうしてがレン、と呼び返すと本当に幸せそうに──けれど、どこかくすぐったそうに軽く身をよじり、頬を赤くする。その様子が、なんとなく、誰かに恋をする人のように見えて、けれど直ぐにその考えを打ち消した。レンが誰かに恋をするなんて……、いったい誰にするというのだろう。

 それにしても、別に呼びかけられるのは良い。けれど、何回、そう、何十回と作業を中断する羽目になるのは、少しばかり困る。それに、なんか、こういう行為って、──好きあっている男女がするような、そんなものに思えてならない。そう思うと、何故か心が重くなり、の作業スピードは次第に下降を辿っていった。何十回目かに呼ばれた後、音が思いつかなくなる。作業を中断したままでいると、不思議そうな声音が耳朶を突いた。


「……? 続きは?」
「なんか、うん、ごめん、思いつかないなあ。歌わせること、今日は無理かも」
「え……」


 唖然とした声。次いで、レンは項垂れた様子を見せた。それから恐る恐ると言うように、震えながら言葉を口にする。


「お、オレが、何度も呼びかけちゃった、から?」
「……違うよ」


 正直に言えば、そうだ。肯定するほか無い。ただ、彼の様子があまりにも弱弱しく、焦っているように見えたので、言葉にすることはできなかった。首を振って答えると、彼は胸の前に手を置き、安堵の溜息を吐いた。なんとなく、その様子が可愛らしくて、思わずニヤニヤと頬を緩ませてしまう。
 レンはそれに気付くや否や、眉を吊り上げて「と、いうかさあ!」と若干声を震わせながら言葉を荒げる。


「あれぐらいで集中簡単に切れるとか、どれだけ脳が貧相って話だし、オレが悪いわけ無いよ!」


 あれぐらいって。何十回も呼びかけてきたくせに。流石にどれほど集中力がある人でも、呼びかけられたら答えないわけにも行かないし。集中は切れるだろう、普通。脳が貧相ってレン。すごく酷いです。
 そのまま言葉を口にしようと思うものの、流石にこの言い方だと駄目かなー、と思い、言葉を頭の中で組替えているうちに、レンの二の句が響いてきた。が無言で居たからだろうか、彼の声音が引きつったように震えていた。


「あ、あの、お、こっている? ……ご、ごめん、なさい」


 何に怒っていると訊いているのだろう。先ほどの言葉に関してなら、別に怒ってはいないんだけれどな……。頭を振ると、レンは「そ、そうだよね」と安心したような様子を見せて、それから直ぐに眉をひそめた。ぽつりと水滴が漏れるように溜息を落とす。あれ、何だか落ち込んでいるような気が。
 レンの揺らぐような視線を受け止めつつ、は必死で言葉を捜す。何か、何か彼がハイテンションになるような、そんな言葉は無いだろうか。落ち込んでいた気分が一気に浮上するような。色々と考えて、は先ほど考えた言葉を口にした。
 出来る限り優しく、お茶らけるように。


「や、あの、呼びかける行動とか、なんかこう、恋人同士がするみたいで楽しかったよー」
「……え」


 雰囲気が逆に重くなった気がする。あれ、言葉の選択間違ったか。背中に冷や汗を垂らしながら、は何でこんなにレンのことを気にかけているのだろう、と頭の片隅で考える。いやいやいや、落ち込んでいる人が居たら放っておけない──から、なのだろうか。はそこまで積極的な性格だったのだろうか。色々な思考が渦巻く。そんな時、軽やかなレンの声が耳朶を打った。

 視線を向ける。彼は頬を薄紅色に染めて、唇から漏らすように言葉を紡ぐ。


「恋人同士って、……どういう、意味?」


 そのままの意味です。心の中で言葉を紡ぐものの、それを口に出すことが出来なかったのはどうしてなのだろう。レンの手のひらがモニタにぺたりと張り付く。


「ねえ、教えてよ」


 色々な感情によって濡れたような声音で紡がれた言葉に、少なからず驚いてしまう。え、何、や、あの。え? そのままの意味です、そのままの意味。恋人ごっこみたいな感じで楽しかったよ、と言えばよかったのか。心の中で絶叫を繰り返すものの、言葉に出来たのは本当に小さな呟きでしかなかった。


「……そのままの意味、だよ」
「そのままの意味って、どういう意味」


 追求に思わず頬をひきつらせてしまう。それ以上探るような言葉を言われても、答え様が無い。というより、何でレンが恋人同士という言葉に、ここまで執着しているのかがわからない。モニタを軽く指先で叩き、は「終了」と、ただ一言呟いた。レンが顔をしかめる。
 彼は何かを言いたそうに口を開く。直ぐに、はもう一度、はっきりと言葉を噛み締めるように「終了!」と声を出す。レンが驚いたように身をすくませ、次いで険の混じった瞳でを睨みつける。


「……なんでそんなに焦るわけ。ただ、訊いているだけだろ」
「だからそのままの意味なんだってば、わかった?」


 念を押すように言葉を紡ぐ。声にはっきりと拒絶の意志を混ぜると、彼は微かに唸り、押し黙る。少しして、深く彼は頷いて見せた。
 それにどうしてかほっとする。はモニタを再度軽く突付き、指先を離した。

 ……それにしても、せっかく希望を聞いたというのに、それを実行できないのは申し訳が無い気分で一杯になる。謝罪をすべく、はレンの名前を呼んだ。不機嫌そうな声音が返ってくる。


「ごめんね」
「……何が?」


 心底不思議そうに呟かれた言葉に、思わず苦笑を零してしまう。レンが拗ねたような表情を見せ、険のある言葉を紡ぐ。


「何だよ」
「えーと、歌わせられなくて、ごめんねって」
「……別に、そのことについては怒ってないよ」


 なんとなく彼の言葉にひっかかりを感じるものの、無視をしておく。苦笑を打ち消し、そっか、と呟くと同時に、彼の伶とした声音が響く。


「だって、歌わせてくれるだろ? いつか、絶対に」
「うん」
「なら良いよ」


 満足そうに笑みを浮かべながら言われると、返す言葉が無い。レンはそっと息を吐くと、モニタへと軽く拳を打ちつけた。


「あのさ、の書く曲は、全部オレが歌いたいな。──うん、オレが歌いたい。全部」
の? や、でも、リンへの曲とかもあるんだけれど」
「リンはオレと同じだから、別に良いよ。でも、さ、の、……マスターのボーカロイドは」


 レンは余韻を残せるような言い方を残し、視線を下げた。頬が夕焼けのような色に染まっていく。彼の唇が何かを紡ごうと動くものの、何を言い切ることも出来ず、僅かな隙間が閉じる。
 溜息とも吐息とも取れないものをレンは漏らし、再度を見つめた。色を変えていく頬とは対照的に、瞳の色は揺れ動くことなく、据わっている。彼は逡巡のようなものを繰り返した後、恥ずかしそうに言葉を紡いだ。


「オレと、リンだけで居たいな」


 それはこれから後、リン・レン以外のボーカロイドを買うな、ということなのだろうか。首を傾げて見せると、レンは頬を軽く膨らませて、胸の前で腕を組む。頬、つついたらきっと頬から空気が抜ける、なんともいえない間抜けな音がするんだろうなあ……なんて想像をめぐらせると同時に、レンはそっと、声を出した。


「でも──月日が経って」


 何かを決心したかのような、決意が秘められた調子だった。レンの視線が鋭くを見つめる。


が、もっと歳を取って、オレ以外のボーカロイドとか欲しくなっちゃって」


 一言一句、しっかりと紡がれる言葉は耳に心地が良い。……なんとなく、レンの言わんとしていることがわかったような、わからないような、そんな気がするものの、確証は持てないので彼の続きを待つ。
 レンは一瞬だけ悲愴な表情を浮かべて、上擦ったような声を出した。


「オレのこと、飽きちゃったら」


 レンの瞳に悲哀が映りこむ。


「アンインストール、する?」


 それはリン・レンのことを、だろうか。だとしたら、答えはわからない、だろう。その時にならないと何を考えるか自分でも良くわからないし、ある日唐突に飽きたらは彼のことをアンインストールするかもしれない。大きな容量を食うボーカロイドは、存在するだけでもパソコンのメモリに重圧をかけてくる。
 ただ、彼が望むのは、そういった言葉では無いと思った。
 頭の片隅へとやっていた意識を戻し、レンを見る。彼は怯えたような、けれど何処か期待を秘めた表情を浮かべ、を見やっていた。

 彼が望む答え、そんなの考えなくてもわかる。しないよ、ただ一言そう呟けば良いだけだ。それなのに、どうしてだろう、声が出なかった。頭の中で嘘を吐いてどうする、とぼんやり思う。嘘を吐いて、もし、がリン・レンを要らなくなってアンインストールしたら。彼はを憎むのだろう。多分、きっと。

 だとしたら答えとしてはするよ、と言えば良いのだろうか。でもそれは余りにも──酷い、気がする。というか、アンインストール、は出来るのだろうか、とも思う。デスクトップ上を歩き回り、と色々な話をするレンを、消すことが出来るのだろうか。多分、出来ないだろうなあと思う。

 答えを出せず、ゆるゆると顔を俯かせる。レンの心配したような声音がスピーカーから漏れてきた。
 嘘を吐いたら、彼はのことを嫌うだろうか。
 そう考えると同時に、は小さく溜息を吐いて、それから最初に考えた言葉を口にした。


「わからないなあ」


 顔を上げてそう言うと、レンの不機嫌そうな表情が目に入ってきた。拗ねたように唇を尖らせ、彼はかすかな怒りを混ぜた声音を紡ぐ。


「そこは嘘でも良いからしないって言えよ」
「でも、嘘を吐いたらレン、のことを嫌うでしょ」


 レンの顔がほんのりと赤く染まる。……変なことを言っただろうか。もう良くわからないので、思い返すことも無く放っておくことにした。レンは軽くどもりながら、焦ったように言葉を紡ぐ。


「そ、そういう……お、オレのこと、っていうかオレの気持ちを一番に考えるんじゃなくて……」


 僅かな焦りと、それと同じくらいの喜びをにじませた声音がスピーカーから、あふれてきた。レンのことを、一番に? 意味がよく、わからない。
 答えを返さずに居ると、レンは困ったような、それでいてやはり嬉しそうな、形容しがたい表情を浮かべ、笑った。


「それに、前にも言っただろ。嫌いにならないってば」


 そう言われても、どうしてだろう。何となく嫌われる事ばかりが頭の中を回っていた。苦笑を浮かべてそうだったね、と返すと彼はそうだよ、とでも言う風に鼻を鳴らす。
 直後、レンの表情がくもった。先ほどの気位の高そうな雰囲気はどこかへ、でもさ、と弱弱しい言葉で続ける。


「嘘、でも……言って欲しかったのは、本当、だよ」


 緩やかに紡がれる言葉に耳を傾ける。レンは、どうしてか酷く恥ずかしそうに言葉を発していく。


「そうしたら、にとって、オレって大切なんだな、って思えるし。飽きちゃっても、消さない、くらい」
「……馬鹿だなあ」


 右手でマウスを持ち、カーソルを動かし、レンの近くでドラッグ。カーソルを頭の上で激しく縦横させると、レンの焦った声音がスピーカーから漏れてきた。それに笑みを零しつつ、カーソルを止める。彼が不思議そうな表情を浮かべた。


にとって、レンは大切な存在だよ。多分、飽きても、消さないくらいには」
「多分、って……。何それ。さっきわかんないって言ってたくせに」


 レンは軽く笑って、それから囁くように、でも、と続けた。


「ありがとう」


 泣くのを堪えるような笑みを浮かべ、レンは囁くように言葉を発した。


続く

2008/07/03
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